愛する子供たち #31 オリンパスオートアイ

オリンパスオートアイ★ 
世界初,シャッター速度優先式の本格的EE機構採用の35mmサイズカメラ。
昭和35年(1960年)の発売。 簡易フラッシュマチック機構に加え、絞り値をファインダーに表示する機構も備え、EEカメラの先駆けとなったカメラです。簡易フラッシュマチック機構に加え、絞り値をファインダーに表示する機構も備え、EEカメラの先駆けとなりました。

■発売:1960年4月(S35)
■型式:レンズシャッター式透視ファインダーカメラ
■レンズ:D-Zuiko 45mm F2.8
■シャッター形式:コパルSV機械式シャッター 
■露出制御:シャッター優先AE
シャッタースピード:B,1-1/500
■ 露出計:セレン光電池、
■フィルム感度:ASA(ISO)10〜800
■画面サイズ:24mm×36mm
■フィルムサイズ:135(35mm)
■フォーカス:マニュアル
■電池:不要
■サイズ:81x134x77 mm
■重量:650 g
■価格:21500円(ケース付)
■特徴:距離計は一眼式連動距離計でシャッター速度を決め、適性絞り値になるとシャッターが切れる。ブライトフレーム付きパララックス自動補正式ファインダー内には、絞り値が出る他、フラッシュ撮影時は自動的に絞り値が決定される。高度な使用に適応するためプレビューボタンも搭載。

1950年代後半・・・それまでドイツ製カメラの模倣によって成り立っていた国産カメラが、独自の在り方や技術を本格的に模索し始めました。そんな当時の最重要課題のひとつが「撮影の簡便化」だったのです。
当時まだまだ一般的であったマニュアルカメラは、撮影条件に合わせて自分でシャッター速度・絞りの設定を考え、行う必要があります。「より本格的な撮影を、より簡単な操作で行いたい」というユーザーの願いは、やがて自動露出(EE/Electric-Eye:電子の眼、或いはAE/Automatic Exposure:自動露出)カメラを生むに至りました。
そして1960年、オリンパスが初のEEカメラを世に送り出しました。
今回ご紹介する「オートアイ」の誕生です。
オートアイは、本体に内蔵しているセレン光電池式露出計の指針の動きを機械的に読み取り、任意のシャッター速度に合わせて絞りを機械的に制御する「シャッター速度優先EE」を搭載していました。
本格的なEE機構の搭載は史上初の快挙であり、それだけでもオートアイはカメラ史に名を残すべきカメラです。

ファインダーを覗きながらシャッターを半押し、或いはプレビューレバーを押下げると、ファインダー下方の数字がグルグル回転し、適正絞り値を示してくれます。シャッター速度が適正でない場合は、赤い回転矢印が出ますので、矢印の指示方向にシャッター速度ダイヤルを回転させると適正露出が得られます。 なお、オートアイは電子カメラではないので、測光の際は毎回シャッター半押し(orプレビューレバー押下げ)する必要がありました。

オートアイ登場の僅か1年後・・・オリンパスにとって悪夢のような新製品がキャノンから登場してしまったのです。 そのカメラは「シャッター速度優先EEばかりか、オートアイでは出来ないマニュアル撮影も可能」「より明るいレンズを積み(オートアイ:f2.8⇒:f1.9)」「より操作性に優れ」しかも、「大幅に安い」という、まさに価格破壊と新技術の申し子のような存在でした。 その「キャノネット」という名の傑作カメラは一大EEカメラブームを巻き起こし、オートアイは一瞬にして市場から駆逐される結果となりました。しかし、オリンパスが総力を結集して生み出した作品だけに・・・温かみのある素晴らしい写りを筆頭として、個性と魅力に満ちた傑作カメラです。

当機は、シャッター、巻き上げ、ヘリコイド、はちゃんと作動。ただし裏蓋を開ける時に引っかかりがあって開けずらい。セレンの精度が不明。
15年ほど前、中古カメラ屋で発見。重たいので、実際に使用したことはない。たぶんちゃんと写るだろうということで、ほっておかれている。Dズイコーの写り具合の確認もまだ。